君を待ってるから

「失礼しました。」

そう言って職員室の戸をガラガラと閉めると、ホッと一安心。

職員室はなぜだか、緊張する。

先生たちがいるせいかな。

歩いて教室に戻ると、さっきと同じ通り、誰もいなかった。

休み時間はまだ残っている。

一人で教室にいるのも暇なので、図書室に行った。

物語の本を読んでいると、

「海華ちゃん。」

後ろから声がした。

振り返ると、由季ちゃんがいた。

「由季ちゃん、図書室にいたんだね。」

由季ちゃんは私を見て「あのね。」ともじもじして言った。

「えっと、ね...体育の時間のこと、気にしないでねっ。」

一瞬何のことかと思ったけど、思い出した。

凪や拓くんのことだ。

「えっ、う、うん?」

由季ちゃんは目をキョロキョロしながら言った。
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