君を待ってるから
* * *
私は、小村秋華。
五年生のときに引っ越してきた凪に、恋をしています。
凪は、一緒にいると楽しくて、心が温まる。
でもときどき、ものすごくさびしそうなときがある。
上の空で、ただボーッと空を見上げる。
何を考えてるのかな?
聞いても、教えてくれなくて。
それが気になって仕方ない。
「ねえ、凪。上を見たら、何があるの?」
凪は、上を見上げるのをやめて、言った。
「...空。」
そうやって答えるけど、空なんて見えてない。
「へっ?ここ、教室だよ?天井しか見えてないってー。」
私が笑っても、凪は笑わない。
「...いや、ここの学校はさ、屋上禁止だろ?」
そういえばそうだな、と思って「あぁ、うん。」とうなずく。
凪は、続ける。
「前の学校は、屋上行ってよかったんだ。たまに屋上に上がって、空を見上げたりしてた。」
「ふーん...いわゆる、思い出の場所?」
「んー。まあ、そうだな。」
凪はそう言って「ハハッ。」と笑う。
だけど一瞬、さびしそうに目を伏せる。