君を待ってるから
「シホちゃん...、イトくんのこと気になってるのかな。」
えっ...。
まさか。
それはないよ。
「うそー、シホちゃんが?そうなの?」
アイちゃんには、全く疑う様子がない。
そんな気がして。
「...ううんっ、違うの。マヒロが気にしすぎてるだけで...っ。」
マヒロちゃんは、悲しそうにうつむいた。
「マヒロ...、もしかして、そうなのかな。」
そんなマヒロちゃんを、アイちゃんは心配する。
けど...。
そんなの違うに決まってる。
間違ってる。
シホちゃんは、マヒロちゃんを裏切ったりしない。
だって、私知ってるから。
“マヒロちゃんねっ、イトくんと順調って感じだよ!”
“マヒロちゃん、イトくんと今日移動教室のとき、楽しそうに話してたよっ!”
って、二人のときにうれしそうに話してきたシホちゃんのこと。
マヒロちゃんを本気で応援してて。
自分のことじゃないのに、頬をピンク色に染めて。
なのに。
「...そうなんだ。」
何も言えなかった。
意味わかんない、私ってば。
ちゃんと言えばよかったのに。