君を待ってるから

ーー「ねえねえっ、聞いた?イトくん、秋華ちゃんのこと好きらしいよ。」

「えっ、うそぉ。マジかーあ。」ーー

私の耳に入ってきたのは、とても最悪な時間だった。

外は暗くどんよりとしていて、今にも雨が降りそう。

アイちゃんやマヒロちゃん、シホちゃんもいつも以上にピリピリしていて。

そんなとき、クラスの男子がふざけ合っていた。

「なあっ、お前、好きな人教えろよっ!」

「そーだよ、気になるぅー!」

なぜか、恋バナの話になって。

恋バナといっても、無理矢理好きな人を聞こうとしているだけ。

「じゃーさ、イトはっ?」

「そーいえばそーだな!」

"イト"という名前がはっきり耳に聞こえた。

そのとき、願ってしまっていた。

イトくんの好きな人は、マヒロちゃんでありますようにって。

そうしたら、いじめはなくなる。

でも、ある男子がいったのは、想定外のことだった。

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