君を待ってるから

しばらく歩いていると、屋上への階段の前で凪は急に立ち止まった。

すぐさま立ち止まって、柱のかげに隠れた。

けど。

「海華、何か用?」

気づかれていた。

「あ。え、いや...、ぐ、偶然だね~。」

ごまかしたけど、無理。

凪にごまかしはきかない。

「...。」

凪がじーっと私の目を見て黙っている。

これはきっと、"何?正直に答えて?"っていう目の合図だ。

ほんと、めんどくさい。

凪ってたまに、わかりにくいところがある。

口で言えばいいのに。

「はいはい。だから...、えと、どこ行ってんのかな~って。...思って。」

「...あそ。」

自分が"目で"聞いてきたくせに、反応なし。

「え、ちょっと、何なのよ。そっちが聞いてきたんでしょー。」

それでも凪は黙ったまま。

そして、早足で階段をのぼり始めた。

屋上までの階段は結構長い。

だから体力なくなっちゃって...。

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