君を待ってるから

「三...ニ...一...ゼロ!」

二十秒数え終わって、拓くんが泳ぎ始めた。

元井くんを狙ってるみたい。

「わぁ~、来るなーっ!」

でも、元井くんがうるさく叫んでバシャバシャと水を飛ばしたせいか。

あれ?

私の方に向かってる...?

「わっ...。」

拓くんは運動神経いいから、絶対捕まる。

やばいよ。

そのときだった。

「わっ...。」

足がつってしまった。

歩けない。

「...ゴホッ...。」

息ができない。

やだ...、溺れる...。

「...ゴホ...。」

バシャンッ。

水面から顔が出た。

「ゲホッ、ゲホッ。」

やっとのことで、息ができる。

とても怖くて、溺れた時間が長く感じた。

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