君を待ってるから

その日家に帰って、拓くんにドキドキしたことを考えていた。

拓くんへのドキドキって、何なのかな。

ドキドキは、前にも感じたことがある。

それは、凪へのドキドキ。

凪に抱いたドキドキは、好きだったからだと思う。

でも、拓くんは...?

好きだからなのかな。

「お母さん、幼稚園のアルバム見せて。」

「えぇ、どうしたの急に。」

お母さんは目を見開いた。

私がアルバムを見たかったのは、凪との思い出を思い出したかったから。

だけどそんなこと、お母さんに言えるわけなくて。

「...何となく、見たくなったの。」

お母さんはアルバムを出してくれた。

私は一人、部屋でアルバムを見ていた。

私と凪が二人で楽しそうに遊んでる。

でも。

「ん?」

その後ろで、涙をポロポロ流して泣いている男の子がいた。

今までちっとも気付かなかった。

凪のことばかりで、周りに目が向かなくて。

誰だろう。

そう思って、個人の写真と名前と好きなものが書いてあるページを開いた。

「この男の子かな...。」

名前は...。

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