君を待ってるから
* * *
「そう、だったんだ...。」
「うん。」
「それでりんごを好きになったの?」
「うん。」
なんか、その話は少し切ない気がした。
でも、拓くんが本当に好きで恋したことがわかった。
口には出さないけど、うさぎのりんごは拓くんの思い出なんだね。
「それで、その好きな子とはどうなったの?」
「...オレのこときっと忘れてる。」
うそ...。
それってすごく悲しいよ。
「え...ほんとに?」
「...うん。」
拓くんはゆっくりうなずいた。
悲しいからだよね。
「でもなんで忘れてるって思ったの?」
だって、忘れてるとは限らない。
「...幼稚園の途中で引っ越したから。」