君を待ってるから
そのとき、わからなかったパズルが組み合わさった。
"...幼稚園の途中で引っ越したから。"
って、拓くんは確かに言った。
私の幼稚園にいた浅倉拓くん。
途中で引っ越してしまった。
浅倉拓くんの好きなものはりんごで、今私の目の前にいる拓くんもりんご。
これは偶然なんかじゃない。
信じがたいけど、きっとそうだよ。
「...浅倉拓くん...?」
拓くんは、パッと目を見開いた。
「...バレたか。」
本当なんだ。
否定はしない拓くん。
「...じゃあ、オレが好きだったやつは誰かわかる?」
「えっ、えーっと...わかんない。」
拓くんはやれやれと首を振ったあと、私の目をじっと真剣に見つめた。
「どこまで鈍いんだよ。」
その言葉の意味が、拓くんの次の言葉を聞くまで、わからなかった。
「オレが好きだったやつは...海華だよ。」