君を待ってるから
* * *
これは、幼稚園のころの話。
「な~ぎっ!」
「あ、海華。」
オレの前には、悔しいほどに仲が良い幼なじみ同士がいた。
それは、笹原凪と鈴木海華。
そして苦しいことに、オレはその海華ちゃんが好きだった。
でも、仲の良すぎる二人の間に入り込める隙間はなかった。
二人の間に入り込めるほど、オレは器用じゃなかった。
「凪、待て~!」
「追いつけるわけないだろ~っ!」
よく二人で遊んでいて。
それがうらやましくていつも泣いてみんなを困らせていた。
きらいになろうと努力したけど...。
きらいになんてなれるはずなかった。
「...何でもない...。」
もちろん、理由なんて言えなかった。