君を待ってるから
「...集中できない。したくない。」
急にどうしたんだ、って、オレは不思議で仕方なかった。
「でも、しないと終わらないだろ。」
秋華は泣きそうな顔をしていた。
「...終わらなくていいもんっ!」
その言葉の意味は、分からなかった。
もちろん、秋華が女子でオレが男子だからだろう。
でも一番の理由は、オレが無神経過ぎだから。
「は、何で?終わんなくていいの?」
オレが首をかしげると、秋華はもっと強く言った。
「うれしくないのっ?一緒に勉強できて、私はうれしいけど!」
そして、続けた。
「凪さっきからずっと終わらない終わらないって...そんなに嫌なら...したくないなら、来なきゃよかった!」
返す言葉は早々見つからなくて、黙っているだけだった。
「それに過去のことか分からないけど、いつも何か考えてて上の空じゃん!」
そのとき、心の中で張りつめていた糸が、プチッと切れたそんな気がした。
「こっちに転校してきて何か嫌なことあった?私...凪の過去なんて知らないけど、凪はいつもの凪じゃないよ!私には...わかる。」
オレは、気づくと話し始めていた。
前の学校のこと...海華のこと。