君を待ってるから
「そう...だったんだ...。」
一段落話し終えると、秋華は気まずそうにつぶやいた。
「うん。でも、もういいんだ。...今はこうして、秋華がいてくれるから。」
そう、秋華が側にいてくれる、それだけでいい。
探っても探っても見つからなかった答えが、今、目の前にある。
「海華のことは...忘れる。もう、傷つきたくない。」
それが正直な気持ちだった。
でもやっぱりそれは、何メートルもある壁を越えなければいけないほど、オレには難しかった。
秋華はどう思うんだろう。
自分じゃない他の誰かの答えだって、時にはヒントになるのかもしれない。
「なぁ...。」
「ーー好き。」
一瞬のことだった。
オレをさえぎるかのように。
「えっ...。」
「凪のことが好き。一緒にいて好きになって...。私が一緒にいてあげるよ。」
すぐには受け止められなかった。
「でもそんなこと言って、凪の頭の中混乱させたくないから...。」
ポロポロ涙を流し始める秋華に、何て声をかければいいか、わからなかった。
だけど、答えはすぐに見つかった。
側にいる、それだけでいいって。
オレだったら、側にいてくれるだけでいい。
ただのオレの考えだけど、きっと秋華もそうだ。