君を待ってるから
少し歩いて、あまり人がいない廊下に来た。
秋華が立ち止まったから、オレも歩くのをやめた。
「えっと...その...告白のこと、だよね?」
秋華は振り返って、恥ずかしいのか恐る恐る言った。
「あ...あぁ、うん。」
オレも緊張気味だった。
そりゃ、告白もその返事も緊張はするだろうけど。
「その...オレ、秋華とは今まで通り仲良くしたい。」
まずは、それだけ言えた。
告白の返事って、こんなにも難しかったっけ。
一言でも傷つける言葉になったらだめだって、そればかり考えて。
その上で正直に答えることも大切だって、言葉を選んでる。
「でも...秋華のことは好きだけど...。」
好きだけど、それが何の好きなんだろうか。
友だちとして?恋する人として?
自分の気持ちなのに、分からなくて。
「でも...分からない。ごめん、頭の中混乱してて。」
まだ答えられない。
恋なんて、オレには分からなくて、まだ早い。
でも、恋を知って、恋をしたい。
「だけど...海華のことは好きだからさ。...これからも仲良くしような。」
秋華はいつものように明るく笑った。
「うん!」