君を待ってるから

少し歩いて、あまり人がいない廊下に来た。

秋華が立ち止まったから、オレも歩くのをやめた。

「えっと...その...告白のこと、だよね?」

秋華は振り返って、恥ずかしいのか恐る恐る言った。

「あ...あぁ、うん。」

オレも緊張気味だった。

そりゃ、告白もその返事も緊張はするだろうけど。

「その...オレ、秋華とは今まで通り仲良くしたい。」

まずは、それだけ言えた。

告白の返事って、こんなにも難しかったっけ。

一言でも傷つける言葉になったらだめだって、そればかり考えて。

その上で正直に答えることも大切だって、言葉を選んでる。

「でも...秋華のことは好きだけど...。」

好きだけど、それが何の好きなんだろうか。

友だちとして?恋する人として?

自分の気持ちなのに、分からなくて。

「でも...分からない。ごめん、頭の中混乱してて。」

まだ答えられない。

恋なんて、オレには分からなくて、まだ早い。

でも、恋を知って、恋をしたい。

「だけど...海華のことは好きだからさ。...これからも仲良くしような。」

秋華はいつものように明るく笑った。

「うん!」



< 99 / 138 >

この作品をシェア

pagetop