双姫 IV 番外編
カタン…
『…………夢…。』
睡魔に負けて眠ってしまったのか、
シャーペンが転がる音で目が覚めた。
『……ん?』
背伸びをすると、肩から何か落ちる。
拾うと肩掛けだった。
誰かが掛けてくれたのかな……。
ここは温かい。
私を本当の家族みたいに娘みたいに
接してくれる。
肩掛けを握り締め、
自分の中で複雑な感情が渦巻く。
『いらない、温かいのも。
優しさも、繋がりも…何も必要ない。』
私には蒼空の『約束』があれば良い。
他は何も望まない。
肩掛けを綺麗に畳み、机の端に置く。
軽く身体を解してまた本と睨めっこをした。