双姫 IV 番外編
「いつもそうしてますね。」
『へ?』
不意に声を掛けられたせいか
裏返ってしまった。
「私が貴女を見掛ける時、
いつも空を見上げています。」
嘘…そうだっけ?
『空は蒼空の色だから……。』
だからかも知れない。
自分でも知らずに蒼空を求めて、
空にすがっているのかも。
「妹が大好きなんですね。」
『自分の妹を嫌う姉が…ううん。
最初は嫌いだった。』
なのに蒼空は私が辛い時に
側に寄り添って手を握ってくれた。
でも、今は…握り返してくれる手は
どこにもない。