双姫 IV 番外編
「蒼空(しえる)さんは
実喜(みき)さんが見ています。
疲れていましたか?」
『え…?あ、ううん。』
「どうしました?
着く前はあんなにはしゃいでいましたのに。」
そうだ。
今日は蒼空の誕生日のお祝いで
プライベートビーチに来たんだった…。
『昔の夢を見てて…。』
「……昔ですか。
朱音さんが『蛇蝎』を追っていた頃ですね。」
「その標的は暢気に砂遊びしてますが。」
李樹が指差す方向を見ると、
蒼空と遊ぶ魁(すぐる)と錦(にしき)の姿。
『不思議よね…。』
あんなに憎かった相手なのに
今では一緒に休日を過ごしたり相談したり。
「不思議ですね。」
その光景が微笑ましくて笑った。