双姫 IV 番外編
「さっき…ハァッ……から…呼んでるのに!!」
全速力で走って来たのか、
酷く呼吸をしながら責められる。
『先輩、ごめんね。』
背を向けたまま謝る。
「何がよ。
悪いけど、心当たりがあり過ぎるんだけど?
勝手に防犯ブザー盗った事?
名前教えなかった事?
それとも…私がヤクザ嫌いなの知ってて
『樺沢組』の息子だって隠してた事??」
あぁ、全部バレてるんだ。
『はは…全部……全部だよ。
名前は言ったら俺じゃなくて、
組関係の人間として認識されると思ったから。』
本当はそれが先輩を逆に傷付ける結果になると
分かってはいても言えなかった。