双姫 IV 番外編
『どうぞ。』
客間の襖(ふすま)を開き、
敷かれている座布団に座る。
「えっと…類にも話せない話って何?」
そわそわして落着きがない朱音さん。
私もこんなお願いをするなんて
思ってもみませんでした。
『朱音さん、私の婚約者になって下さい。』
「…ほへ?」
予想通りの反応をありがとうございます。
開いた口が塞がっていませんよ。
『正式には婚約者のフリ…です。』
想い人にこんな事を頼むなんて、しかも人妻。
ですが…頼めるのは朱音さん以外に居ません。
下心がないとは…否定しきれませんが。