双姫 IV 番外編
誰だ…?
背中を擦る手は優しい。
『暖かい…。』
さっき迄の寒さが嘘の様に消えて行く。
「…たりめぇーだろ、生きてんだからさ。」
その言葉に涙が出る。
それは、俺の大切な人から言われた言葉だから。
『朱音…。』
グラッ…
抱き締めようとした時、朱音の身体が横たわる。
『朱音、どうしッ!?』
身体に触れると付いたのは真っ赤な血。
「類…『約束』守れなくて…ごめ……ん…。」
瞼は閉じ、
温かい体温がどんどん冷たくなる。
『違う…これは、夢だ!』
夢だ!!
ガバッ!
悪夢に魘(うな)され、飛び起きた。