贄に光を
「それで、サンは何故拗ねているの?」

「あぁ、それねー。ユリが気にする事もない程しょうもない理由なのだ。」


鼻でフッと笑い、メイは呆れるように言った
先程は2人のやり取りをニヤニヤと楽しんでいたのに


「しょうもなくねぇ!!コイツ、俺にだけ返事しねぇんだよ!」

「…お前、うるせぇんだよ。言葉が聞き取れねぇ。」

「あ!?どーゆー意味だよ!」


…確かに気にする程の事でもないわね


「サン君は1度落ち着いて下さい。…レイは昔から視覚が優れている代わりに聴覚が弱いんです。なので大きな声は聞き取りにくいんです。」


レイの顔をチラリと見てからローダは少しだけ悲しそうな声でそう告げた


「……そうなのか…まぁ、気をつける…。」


ローダの悲しそうな口調にサンはハッとしてバツの悪そうな顔をした


ぐぅーーーーーーっ


そんなお腹の音は教室内の悪くなった空気を良い意味でも悪い意味でも、ぶち破った


「……えへ☆」

「…」

「…」

「…」


莫大な音量で腹の虫を鳴らしたメイは悪びれることもなくニコニコと笑っている


「…まぁ……最初らへんにレイの事が分かって良かったんじゃないの…」

「そっ…そうだね!お互いの性格とかもなんとなく分かったし…!」


フウナの言う通り、今のやり取りで皆の性格がなんとなく把握できた

ローダは落ち着いていて穏やかな性格

サンは気が短い暴れん坊

レイは無表情で無口、冷静

フウナは涙もろくて気の弱い子

メイはいつでもどこでもマイペース


「どうせ私達はクラス替えが無いし、仲良くやりましょうよ。」

「あぁ、そうだな!」


メイの腹の虫で収まったこの場をまたもやぶち壊す人がいた



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