あなたの願いを叶えましょう
1. 王子の素顔
エンターキーを叩いて、上書き保存を押す。
「ふう…」
小さく溜息を吐きPCから目を離すと霞んでしょぼしょぼした。
眉間を揉みながらディスプレイの隅っこに表示された時刻に目をやると、既に22:00を過ぎていた。
今日も遅くなっちったな。
私が一息入れるのを見計らったように、デスクに缶コーヒーがそっと置かれる。
驚いて顔を上げると、ニッコリと爽やかな笑みを浮かべる一人の男性。
「お疲れ、富樫(とがし)さん」
「ありがとうございます。黒澤(くろさわ)さん…」
不意うちの優しさに胸がジンとしとしてしまった。
「あの…お金」
いいのいいの、と言って彼は私の隣のデスクに寄りかかると自分の缶コーヒーのプルタブを空ける。
「すみません。いただきます」
差し入れてもらった暖かいコーヒーを一口飲むとホッと肩の力が抜けた。
「もう俺と富樫さん以外はみんな帰っちゃったよ」
ぐるりと辺りを見渡すと確かに人影は私達以外に見当たらなかった。
広いオフィスに二人きり…。
なんとも美味しいシュチュエーションに鼓動が大きく跳ねる。
そんな胸の内を見透かしたようにクスリと魅惑的な笑みを浮かべた。
「ふう…」
小さく溜息を吐きPCから目を離すと霞んでしょぼしょぼした。
眉間を揉みながらディスプレイの隅っこに表示された時刻に目をやると、既に22:00を過ぎていた。
今日も遅くなっちったな。
私が一息入れるのを見計らったように、デスクに缶コーヒーがそっと置かれる。
驚いて顔を上げると、ニッコリと爽やかな笑みを浮かべる一人の男性。
「お疲れ、富樫(とがし)さん」
「ありがとうございます。黒澤(くろさわ)さん…」
不意うちの優しさに胸がジンとしとしてしまった。
「あの…お金」
いいのいいの、と言って彼は私の隣のデスクに寄りかかると自分の缶コーヒーのプルタブを空ける。
「すみません。いただきます」
差し入れてもらった暖かいコーヒーを一口飲むとホッと肩の力が抜けた。
「もう俺と富樫さん以外はみんな帰っちゃったよ」
ぐるりと辺りを見渡すと確かに人影は私達以外に見当たらなかった。
広いオフィスに二人きり…。
なんとも美味しいシュチュエーションに鼓動が大きく跳ねる。
そんな胸の内を見透かしたようにクスリと魅惑的な笑みを浮かべた。
< 1 / 246 >