あなたの願いを叶えましょう
「行くぞ」

黒澤波瑠に声を掛けられて、早足でそのあとをついて行く。

「呼びに来てくれてありがとね」

なんとなく不機嫌そうで声を掛けずらかったので、とりあえずお礼だけ言っておく。

「打ち合わせを忘れるなんてありえないだろ」

黒澤波瑠はこちらを振り返る事なく、結構きつい口調で注意された。

確かに私が悪かったけど、そんな言い方しなくたっていいじゃない。

「申し訳ありませんでした」

同期といえど、黒澤波瑠の方が役職は上なので悔しいけど、ここはひとつ素直に謝っておく。

会議室へ向かう廊下の途中で、黒澤波留がピタリと足を止める。

あやうく背中にぶつかりそうになってしまった。

「さっきの打合せしてた人、誰だっけ。なんか飲みに誘われてなかった?」

こちらを振り向くことなくボソリと一言呟いた。

「ああ、工藤さん?ヨガのイベントをお任せしている運営会社の人だよ。イケメンだよね」

「ホント軽いな、富樫は」

私の話を遮って、とんでもなくショッキングな台詞が飛んできた。

突然のことで私はびっくりしてピシリと固まってしまう。
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