あなたの願いを叶えましょう
「行って欲しくないなら素直にそう言えば?」

その大きな瞳をじっと見据えると、微かに揺れた。

「別に、俺は……」

黒澤波留はごにょごにょと口ごもる。

「じゃあ、工藤さんと飲みに行こうかな」

私は目をスッと細めて、人指し指を離す。

黒澤波留は参った、と言わんばかりに両手のひらを私に向けた。

「それは……なし。俺と食事に行こう」

やった!超嬉しい!どうしよう!ぎゃー!!

そう叫び出すのを必死で堪えたけど、頬が思いっきり緩んでしまう。

そんな私の様子を見て、黒澤波留にフッと鼻で笑われてしまった。

胸のうちがすっかりバレてしまっているようだ。

「今度は定食屋さんじゃないとこ」

「でもあのお店も美味しかった」

「じゃあ、またそこも一緒に行こう」

黒澤波留は私の頭もくしゃりと撫でる。
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