あなたの願いを叶えましょう
7. 王子の危機
いよいよ今日は待ちに待ちかまえた黒澤波留と食事に行く日―――

「今日は合コンっすか?えんさん」

会社のデスクに到着して、朝一の日課であるメールチェックをしていると、えりかちんに声を掛けられた。

「え、なんで?違うけど」

予想が外れたえりかちんは、唇に人差し指を当てたまま、うーん、と唸って小首を傾げる。

「なんか今日のえんさん女子力みなぎってません?」

確かに今日は髪を下ろしてふんわり緩く巻き、淡いピンクのニットに花柄のフレアスカートを合わせている。

「気のせいでしょう。ふつーよ、ふつー」

嘘だ。

今日の私は浮かれまくっている。

黒澤波留は約束通りにお鍋が評判の和食料理屋さんを予約して、ディナーに誘ってくれた。

予約は七時半だったので、今日は七時に前に上がりたいところ。

トラブルの残務処理だってばっちこいだ。

なんだろう。この湧き上がるやる気。
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