あなたの願いを叶えましょう
「そういえば、黒澤さんが梁川さんを颯爽とお姫様抱っこで医務室まで運んだって、フロアで噂になってますよー」

えりかちんが無邪気なふりして、探りを入れてきた。

「ええーそうなんだ！なんか恥ずかしいなぁ」

梁川さんはテヘッと可愛らしく笑う。動揺することナッシング。

「まるでコイビト同士みたいだったってみんな言ってました！」

えりかちんは無邪気なふりをして更に一歩踏み込む。可愛い顔してなかなかグイグイ攻める。

そんな二人を野口さんはハラハラしながら事の成り行きを見守っている。

「それはないよ。だって黒澤くんは弟だから」

「ええ？！」

梁川さんのまさかのセリフに私たち三人はギョッとした表情を浮かべる。

その驚きは其々微妙に違うのだけど。

「兄弟って……全然似てないから全く気が付きませんでした」

野口さんは年下の梁川さんに対して何故か敬語になっている。
< 210 / 246 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop