あなたの願いを叶えましょう
「なんだこれ、むかつくな」

思わず口をついて出た。

花本のくせに、恋人とバカンスなんて生意気だ。

「女子大生の彼女とハワイに行ったんだって」

私が何にイラっとしたのか、察したらしい。

きっと以前同じようなこと思ったんだろう。

さんきゅ、と言って黒澤波瑠は缶コーヒーのプルタブを空ける。

一口飲んでから深くため息をついた。

その横顔は、何処と無く疲れて見えた。

以前に、シャッターをビシャりと閉じられた経緯があるので、その後の経緯は切り出し辛い。

暫し二人は沈黙し、微妙な空気が流れる。

「それで?何の用?」

黒澤波瑠は缶コーヒーを持つ手を大きな目でじっと見つめながら、ボソリと呟く。

「へ……あ、あぁ、あの実は今度のキャンペーンの内容について何点か確認したいことが……」

わざとらしい口実でたどたどしく切りだすが、黒澤波留の大きな瞳に見据えられて喉の奥に言葉が引っかかる。
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