あなたの願いを叶えましょう
「ええ、超!優秀ですよ。仕事をゴリ押ししてくるところはウザいですけど、折衝力は抜群です。彼にはいつもビジョンがあって、それを達成するための努力は惜しみません」

いつも遅くまで残っていて、資料を作成している彼の姿が眼に浮かぶ。

口元に手を添え、暫し考え込んだ後に、真っ白なA4用紙にアイデアを落とし込んでいく。

アイデアを創作している彼の姿を見るのが私は好きだった。

「それに面倒見も良くてマネンジメント能力もあります」

いつも惚けた後輩、花本に付き添って、私の席にやってくる。

「彼は誰よりも努力をしている。だから優秀なんです」

私は言い切った後に、残ったシンハービールを飲み干した。

「やっぱり、大好きなんじゃん、波瑠のこと」

そう言って、ナオシはにっこり微笑んだ。

すごく優しい笑顔。

「好きじゃないです。全然…」

取り繕っても全く無意味だ。

向かいに座る黒澤波留にちらりと視線を向けたが、無言のままビールを口に含む。

ポーカーフェーズをあくまで崩さなかったので、その心中を図り知ることはできなかった。
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