あなたの願いを叶えましょう
しまった……感極まってつい声を張り過ぎたか。

黒澤波瑠も気付いたようで、背中からさっと手を離す。

その時、地下鉄が駅に到着し、ごとんと揺れて止まる。

奇しくも黒澤波瑠の住む最寄りの駅だった。

「場所を変えよう」

黒澤波留は私の腕を掴んで、そのまま二人で地下鉄から降りる。

◇◆◇

「はい」

差し出された350mlのペットボトルを受け取った。

私はミルクティー、黒澤波留はお気に入りの缶コーヒーだった。

私たちは駅の近くにある公園のベンチに並んで座る。

「なんとなく、お店だと落ち着いてはなせないし、俺の家だと変な雰囲気になりそうだから」

黒澤波留は缶コーヒーのプルタブを開けて一口飲む。

変な雰囲気って……どんな雰囲気なんだ。

軽く妄想しかけただけで、くらっときてしまった。

「富樫の気持ちは、正直嬉しかった。でも」

『でも』は逆接詞。この後私にとってよくない話になりそうだ。

私は生唾をミルクティーと共に飲み込んだ。
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