あなたの願いを叶えましょう
「付き合うとか、今は多分難しい」

黒澤波留は目を伏せて、缶コーヒーを口に含んだ。

その答えを聞いた瞬間、私はロケットの如く天高く打ち上げられ、空中で爆発し木っ端微塵に吹っ飛ぶ妄想をする。

「じゃあ、なんで思わせぶりなことするの?」

拒絶されたショックで相手に八つ当たりなんて、スマートな大人の女性がすることじゃない。

だけど一人で堂々巡りしていたうちに貯まっていった負の感情は一度口から溢れたら止められない。

「あ、遊びちょっかい出すような軽い女に見られてたなんてショックだよ」

「そんなんじゃない」

黒澤波留の表情が辛そうに歪む。

「結婚願望むき出しの富樫に手をだすほど、俺だって節操がないわけじゃない」

失礼なことを言われている気がするけど、黒澤波留の表情は真剣なので突っ込めない。
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