あなたの願いを叶えましょう
「富樫は本当に頑張ってる。総合職とか、一般職とかそんなの関係なく。いつも助けてくれて本当に助かったよ」

黒澤波留の顔が涙でぼやけて見える。

彼は私のことを認めてくれてたんだ。

「だから、続けろよ、仕事。俺も頑張るから」

黒澤波留は私の肩を抱き寄せる。フワリと彼のコロンが香る。私の大好きな匂い。

でも離れたくない。

そう言う代わりに黒澤波留にしがみつくと、私を抱きしめる腕にも力がこもった。

黒澤波留は私の頭を大きな手でよしよし、と撫でて私を宥める。

ひやりと冷たい夜の公園にいると触れ合っている人肌のぬくもりがなんとも心地よい。

途中、柴犬の散歩にきた初老の紳士が公園のベンチでいちゃつく私たちを見て、不審な視線を向けて来たが、そんなん関係ねぇ。

私たちは二人の世界に浸りきっているのだ。
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