あなたの願いを叶えましょう
「ちょっと!どういうことよ?!」

目を吊りあげて問い詰めようとした瞬間、グイッと腕を掴まれ引き寄せられた。

抵抗する間もなく、綺麗な顔が近づいてきてフワリとコロンが香る。

あっと言う間に私の唇は奪われた。

なんて鮮やかなお手並み。

触れ合うだけのキスをして黒澤波留は唇を鼻先まで離す。

「俺も富樫にぞっこん、ていうことだけど、何か?」

そして恥ずかしそうにはにかんだ。

ああ……どうしよう、超カワイイ。やっぱり大好き。

そう言う代わりに私は少し背伸びをして、黒澤波留にキスをする。

そのまま腰を引き寄せられ、深く深く口づける。

黒澤波留の香りに包まれて、緩急をつけた巧みなキスに、ここがどこかも解らなくなる。

只々、甘い快楽に私は身をゆだねる。

エレベーターのベルが鳴り、フロアに到着したことを告げる。

黒澤波留は慌てて身体を引き離した。

余韻が冷めやらないうちに、エレベーターの扉が全開になる。
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