あなたの願いを叶えましょう
これでイベント会社を一代にして築いた若き社長だというのだから、女性からのデートのお誘いは引く手数多だろう。

黒いスキニーパンツにイベント用のウィンドウブレーカーを羽織り、カジュアルな出で立ちのため若く見えるけれど、私よりも3つ歳上の32歳らしい。

そしてもちろん、独身。

「東亜の社員さんが既にいらして、今受付で準備をされてますよ」

どうやらゆとり花本が既に到着しているらしい。

「ではまた後ほど」

私は、江藤さんにここ一番の可憐な微笑み(と、自分が思ってる)を浮かべお礼を述べると受付へと向かった。


「遅かったじゃないですか。冨樫さん」

うるせえ。

そっちの用事で休日出勤させといて、その言い草はなんだ。

花本だったら、そう言い返していただろう。

…花本だったら。
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