あなたの願いを叶えましょう
「熱心だね」

「愚図だから仕事が終わらないだけです」

私はおどけて肩を竦める。

「そんなことないでしょ。本社では出来る人に仕事が自然と集まってくるようになってる」

黒澤さんに褒められたような気がして少し胸がくすぐったい。

でもさ、と言って彼は言葉を繋げる。

「富樫さんは一般職でしょ?」

「そうですが」

「そもそも俺達(総合職)とは見てる景色が違うんだから、どうせ出世出来ないじゃん。なんでそんなに頑張るのか不思議」

そう言って彼は無邪気に笑う。

不意に突き付けられた現実。

その無神経な発言により、疲れた私の心はボキリと折れた。


なにこの人、大っきらい―――


この日この時この瞬間から黒澤波留は私の中で完全に敵認定されたのだった。
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