あなたの願いを叶えましょう
「午後は5回あるから、250人分くらい集まればな」

「ええ…いいんじゃない?今のペースで充分だよ」

黒澤氏は箸をくわえたまま、不機嫌そうにスッと目を細めた。

「お前さ、金掛けてんだから少しは費用対効果を考えろよ」

お前…?この人今わたしのことお前って言ったの…?

一瞬我が耳を疑った。

今日の黒澤氏は腹黒さを隠そうとしない。

きっと私達以外に会社の人はいないからだろう。

「だって今回のイベントはCSRの一環だもん。利益を出そうとしてやってる訳じゃない」

CSRねえ…といって黒澤波留はフンと鼻で笑い飛ばした。

「其れが会社にとってどんだけプラス要素をもたらすのか俺個人の意見としては疑問が残るが、どうせ出費をするからには少しでも元を取ろうとするのは当然の事だろう?」

「そんな費用対効果の事を考えているんなら、そんな高い弁当なんて買わなきゃいいじゃない」

私の食べているお弁当は五穀米彩り野菜弁当750円なり。

一方黒澤氏が食べている国産和牛サーロインステーキ弁当のお値段はグッと上がって2160円だ。
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