あなたの願いを叶えましょう
「弁当のクオリティの差は冨樫さんと俺の働きぶりに比例しているから」

「せーかく悪いわねえ…」

箸を持つ手がワナワナ震える。

しかし、黒澤氏はどこ吹く風だ。

怒りを鎮めよ、私。

昨夜この腹黒男のの弱みを握ったじゃない。

月曜日ギャフンと言わせてやるんだから、今日のところは堪えるのだ。

私は口一杯に五穀米を頬張り、じっくりと噛み締める。

「でも、この企画はなかなかいいよな。道具や材料費などの元手は殆ど掛からないのに興味を惹く。親の評判もいいからアンケートも勧めやすいよ。ヨガなんて女性ならでの視線だと思う」

「そりゃ…どうも」

思わぬお褒めのお言葉に私は若干面食らう。

黒澤波留は、うむ、と偉そうに頷き、和牛ステーキを頬張った。
< 34 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop