あなたの願いを叶えましょう
「プハー！」

大きく息を吐いて、白木のテーブルにビールグラスをドカリと置いた。

黒澤氏が連れて来てくれた和食のダイニングは落ち着いた雰囲気の小じんまりしたお店だった。

入り口付近のカウンター席があり、その奥に数席テーブル席がある。

店内はモノトーンを基調したシックな内装で、天井から球形のシェードに覆われたペンダントライトがぶら下がり、柔らかな光を放っていた。

私はアツアツの揚げたて自家製メンチを一口頬張る。

サクッとした食感にジワリと口中に広がる肉の旨み。

濃厚で少し甘めのソースがよく合っている。

そして再びビールを一口。

「あーしあわせー」

頬を押さえながら、私は満面の笑みを浮かべる。

その様子を見て黒澤氏は目元を和らげた。

「美味い？」

私はジューシーメンチを頬張りながらコクコクと首を縦にふる。

黒澤氏は出汁巻玉子を一つお皿に取り分け、半分に切ってお上品に口へと運ぶ。

< 39 / 246 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop