あなたの願いを叶えましょう
「ひ、酷い…そこまで言う?!」

「言うよ。だってとがしは願いを叶えて欲しいんらろ?俺だってこんな下らない事に何時までも時間を使ってるほど暇じゃない」

黒澤波留頬杖をつき、目の焦点もイマイチあっていない。

きっと夜な夜な合コンに付き合わされてうんざりしているに違いない。

言い返せずに私は口を噤んでおし黙る。

「隙ってさ、突かれるもんじゃなくて、作るもんだから」

黒澤波留がグラスの縁をスラリと長い人差し指でゆっくりとなぞりながら言う。

よく意味が解らずに、はあ、と言って私は眉根を寄せると、フンと鼻で一笑された。

「この頭でっかちは男は獣くらい思ってるんだろうけど、同じ人間なんだぜ?手を出すのも緊張するし、拒否られたら傷つく」

そう言って私の頭を気安くペタペタ叩く。

どうやら王子さまも酒に飲まれたらしい。

「それじゃあ黒澤波留はいつも緊張しながら女の子をお持ち帰りするの?」

うーん、とちょっと考えて「しない」と答える。

言ってる事が真逆だ。思わずずっこけそうになる。
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