聖獣王と千年の恋を
ホッと胸をなで下ろすメイファンを横目に、ワンリーはクスリと笑う。そしてメイファンの肩を抱き寄せた。
「龍だろうと人だろうとおまえはおまえだ。俺はおまえを愛している」
「はい。私も同じ……です」
咄嗟に答えた途端、なんだか気恥ずかしくてメイファンは真っ赤になってうつむく。ワンリーは嬉しそうに目を細めてメイファンの頭をなでた。
そして腰につけた剣を外してジャオダンに差し出す。それはジャオダンがシェンザイに戻る前にワンリーに渡したものだ。
「使うことはなかったが助かった」
「恐れ入ります」
ジャオダンは頭を下げて剣を受け取った。それを見ながらメイファンは彼に尋ねる。
「ジャオダン様の剣も聖剣なんですよね?」
「そうですよ。雷聖剣のように特別なものではありませんが」
「ということは、人の肉体を傷つけたりはしないってことですか?」
「はい。聖剣は人を斬るためのものではありません。陰の気を斬るものです。そのため陰の気の塊である魔獣は実体を失うわけですが」
それを聞いてメイファンは思い詰めたような表情でジャオダンの剣をじっと見つめた。ジャオダンは不思議そうに首を傾げる。
「どうかしましたか?」
意を決してメイファンはジャオダンをまっすぐ見つめた。
「差し支えがなければ、その剣を私に貸していただけないでしょうか」
「私はかまいませんが……」