聖獣王と千年の恋を
「今日は私の二十歳の誕生日なの。本当の誕生日はもう数日前だと思うけど」
「確かに数日前から門の波動は感じていた。はっきりしたのは今日だが」
ワンリーも頷いた。そして悔しそうに眉を寄せる。
「チョンジーもそうだが、俺も門の波動がなければ、おまえの居場所はわからない。今日までどれほど歯がゆい思いでいたか」
そう言ってワンリーはメイファンの手を取った。両手で包み込み嬉しそうに微笑む。
「おまえがチョンジーに連れ去られる前に間に合ってよかった」
突然、ワンリーの左隣で父が咳払いをする。厳しい表情で見つめる父と目があったワンリーは、苦笑しながら慌ててメイファンの手を離した。
父は満足げにうなずいた後、気を取り直してワンリーに尋ねる。
「事情は理解しました。そして娘を守ってくださったことに感謝します。娘の中にあるという門をすぐに閉じることはできませんか?」
ワンリーは目を伏せて首を振る。
「そうできれば簡単なんだが、今ここでは無理だ。門を閉じるには膨大な霊力と集中力を必要とする。魔獣の邪魔が入らない、霊力に満ちたシェンザイに行かねばならぬ」
「でもシェンザイは聖域で、人は入れないでしょう?」
すかさずメイファンは指摘した。決まり事として禁止されているだけでなく、結界に守られていて実際に立ち入ることができないのだ。
だがワンリーはニヤリと不敵の笑みを浮かべる。
「案ずるな。手は打ってある」
「どういうことですか?」
「ガイアンの四方を守る守護聖獣と俺の眷属である四聖獣の加護を受ければ、人の気が薄れシェンザイに入ることができるのだ。すでに各都には四聖獣を向かわせてある」
「……ということは、ガイアン各地を巡らなければならないのですか?」
「そうだ。だから悠長にしている時間はないと言ったのだ」