聖獣王と千年の恋を



 ホッとしたようにつぶやいて、ワンリーはメイファンを抱きしめる。少しきつく抱きしめた後、おもむろにメイファンを抱き上げた。

「え、ちょっと、ワンリー様……!」

 焦るメイファンを気にもとめず、ワンリーはそのまま祭壇を降りて城へ向かう。

「今日の業務は終了だ。後は明日までおまえとふたりきりで過ごすことにしよう。皆も休んでくれ」

 通りすがりに告げるワンリーに、四聖獣たちは皆黙って恭しく頭を下げた。

「え、まだ日も高いのに、本当にいいんですか? エンジュ様」

 一番近くにいたエンジュに尋ねると、彼はまったく動揺した風でもなくにっこり微笑む。

「大丈夫です。王はこういう方ですから。それに魔獣の脅威が去ったなら、特にすることもありませんし」

 エンジュの言葉に他の聖獣たちも頷く。ジャオダンに至ってはニコニコしながら手を振っていた。

「そういうことだ」

 ニヤリと笑ってメイファンの頬に口づけると、ワンリーは城へ入っていった。少しドキドキしながらメイファンは抵抗をやめる。

 思い返せば、一月にも満たない短い間に、めまぐるしく周りが変化した。ようやく取り戻した穏やかな時間を、今宵はワンリーとゆっくり満喫するのも悪くないとメイファンは思った。



(完)


*********************

最後まで読んで頂いてありがとうございました。


< 147 / 147 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:35

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

王子様はパートタイム使い魔

総文字数/49,624

ファンタジー58ページ

表紙を見る
こちふかば

総文字数/7,375

ファンタジー11ページ

表紙を見る
クランベールに行ってきます
  • 書籍化作品

総文字数/163,835

ファンタジー199ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop