聖獣王と千年の恋を
3.聖獣様の愛の形
さて、どうやって聞き出そう。聞いてみたいのは最初の門の娘シュエルーのこと。
話そうと誘ったものの、メイファンは切り出せずにいた。エンジュは穏やかな表情で、急かすこともなく待っている。意を決してメイファンは口を開いた。
「あの、エンジュ様はワンリー様の眷属になってどのくらいになるんですか?」
「あなたには想像もつかないくらい遙かな昔からお仕えしています」
ということは、五百年前のシュエルーのことは知っているということだ。
「では、私の前世はご存じですよね。私はなにも覚えていません。魂の元々の持ち主、シュエルーってどんな人だったんですか? 私と似ているんでしょうか」
「そうですね。見た目は似ているかもしれません。あなたと同じように黒い瞳で長い黒髪でした」
それはガイアンの女性の八割は該当する特徴だと思う。さすがはワンリーの眷属。話がどこかズレている。
メイファンが内心ため息をついていると、エンジュはさらに続けた。
「でも、性格はずいぶん違うようですね。私はあなたのことをよく存じておりませんが、シュエルー様は負けん気が強く、感情表現がまっすぐな方でした。あなたはシュエルー様よりずいぶんとおとなしい方のようにお見受けいたします」
なるほど。シュエルーは気が強い人のようだ。ビャクレンから一度も出たことのないメイファンは、確かに幾分人見知りであまり自己主張をすることがない。
普通、人を好きになる時は、見た目より性格や人柄を好きになるのではないだろうか。少なくとも自分はそうだ。いくら見た目がきれいでも、性格や人柄が酷い人は好きになれない。