旧校舎のお狐様
ここに来るまで、すっごく怖かったのに
いざ中を見てみると普通すぎて
木村くんの言ってたことは、
嘘なんじゃないかとおもうくらい。

いや、嘘だったのかも。声も聞こえなかったもんね。

そう思ったら何だか気が軽くなって、
私は躊躇なく教室へ足を踏み入れた。

荷物が置いてある隅に近づくと、本が数十冊
バラバラに積み重ねてある。

これの中から探さなきゃなのか。


「パッと見じゃ分かんないなぁ」


木村くんの話が嘘だってわかっても
やっぱりこの旧校舎に長居はしたくない。
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