お嬢様 × 御曹司
私は渋々頭を上げた。


ように演技をした。


私そこまで素直じゃないし、なぜこの人に頭を下げなくてはならないのかもわかってないもの。


「聖夜様、13歳のお誕生日、誠におめでとうございます。」


「ありがとうございます。」


「つまらないものですが受け取っていただけますでしょうか?」


そう言って森様の懐から出てきたのは小さな箱。


多分ネックレスか何かだろう。


「はい、喜んで。ありがとうございます。」


そう言ったのは私だけど、受け取ったのは後ろに控えていた執事の陸。


相手に敬意を払っている笑顔を向けておきながら、サッとプレゼントを受け取り、別の執事に渡す。


そうしてから私に頭を下げて、会話に加わった。


と言っても二言三言。


「森様、プレゼントをお渡しいただくことは結構ですが、ルールというものがございます。先ほど司会者からも注意がございましたが、来年からプレゼントは受付にお渡しください。」


これは、父さんになんらかの恨みを持った人物が私に危害を加える危険性を配慮したものだ。


万が一あれが爆弾で、私に手渡されたところで爆発でもしたら…という父さんの愛情なので、13年間特に文句も言っていない。


まあ、兄さんで前例があったみたいだから、仕方がないって気持ちもあるんだけどね。


兄さんが5歳の誕生祭でプレゼントを受け取って、プレゼント重さに違和感を感じたからプレゼントを蹴り上げたんだって。


そしたら案の定、天井で爆発。


怪我人が出なかったのが奇跡だったとか。


「あぁ、そうでしたね!本当にすみません!忘れておりました…。」


額の汗を拭きながら、何度も陸にペコペコ頭を下げる森様。


手に持っていたオレンジジュースを私に差し出してきた。


「申し訳ありませんでした、聖夜様。良い誕生日を。失礼いたします。」


「ご挨拶、ありがとうございました。」


私はニコニコと笑い、グラスをとった。
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