お嬢様 × 御曹司
帰りの車の中、一人考えた。


花には何も話しかけないように言ってある。


だから、一人で目を閉じて考える。


たけくんは、私のことを嫌ってたわけじゃなかった。


それどころか、私のためを思って、気持ちを押し殺してくれてた。


私は自分の感情で手一杯で、たけくんの気持ちなんて聞こうともしなかった。


何てひどいことをしたんだろう?


ちゃんと謝って、ちゃんと、まずは自分の気持ちを伝えよう。


一目惚れなんだって。


素朴な君が好きなんだって。


優しい君が好きなんだって。


伝えたら、変わろう。


何もかも自意識過剰なところをなくして、たけくんみたいに優しくなろう。


いつも笑顔で居られるようになろう。


それで、仲直りできたら、ゆうちゃんに報告しよう。


私から、行動するだ。


私は目を開けて、スマホを取り出した。


LINEを開き、[武士]と書かれたアイコンをタップする。


1月2日からたまっていた既読が、たけくんの方についただろう。


[バレンタインの日、時計台前に10時に来てもらえますか?]


たったそれだけを打つのに手が震えて、30分もかかってしまったけど、私の心は、落ち着いていた。


自分の居場所は、自分で作る。
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