お嬢様 × 御曹司
私はまだ彼の腕の中にいる。


正気に戻った私は今の体制がかなり彼に近いことを知り、彼らのことは忘れて胸の音がに超えないように願った。


ドキドキと彼らの時は感じなかった、心臓の音が聞こえる。


密着しすぎてて、恥ずかしくて死にそう!


多分、今私顔真っ赤だ。


あんなにかっこよくヒーローみたいに助けてくれて…惚れないわけないじゃん。


「…!ごめん!」


彼も正気に戻ったようで、腕を離して急いで私から距離を取る。


彼の顔も真っ赤で、頭から湯気が出そう。


あいつらのせいで、会った時の始めの言葉とか、何を話すとか考えてたのに、全部予定が狂った。


もう、何を話していいかわからないくらい、君が好き。


「助けてくれてありがとう、たけくん。」


久しぶりに呼んだその名前。


好きな人の名前を呼ぶのがこんなにも愛しいなんて、たけくんを好きになるまで知らなかったよ。


私が笑ったのを見てホッとしたのか、たけくんもつられて笑顔になる。


「助けられて良かった。聖夜はかわいいから、ナンパされやすいんだ。気をつけろよな。」


「そんなことないよ!」


言い方は男の子だけど、たけくんの言葉は優しさに満ちている。


あんなチャラチャラな3人組なんかより、下手に着飾らないたけくんのほうが、私はかっこいいと思う。


「たけくんも、部活では人気なんでしょう?ゆうちゃんが言ってた。」


「え?なにそれ?しらない。」


たけくんは本当に知らないようで首をかしげる。


…ってことは、女子からのアプローチに全く気がついてなかったってことだな。


恐るべしおぼっちゃま。


-ドンッ


「わっ!」


誰かとぶつかり転びそうになる私。


それをすかさず抱きとめるたけくん。


でも、その手はすぐに離される。


気まずそうに頭をかくと、たけくんは苦笑い気味に言った。


「場所を変えよう。このじゃ、人が多すぎるね。」
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