お嬢様 × 御曹司
そう言われて歩き出したのはいいものの、もう彼の手は私の手をつないではくれない。


それどころか、少し距離を置かれている。


ゆうちゃんが言ってたことが正しいなら、私がたけくんを嫌ってるとたけくんは思ってるんだよね?


だったらまず、私の気持ちをきちんと伝えて、誤解をとかなくちゃ。


こ、告白するってドキドキするし、正直言って怖いけど…


どうしよう、指が震えてる。


私は前を歩くたけくんを見上げて唾を飲み込んで拳を強く握った。


ゆうちゃんのように、まっすぐ前だけを見つめて。


今の関係じゃ、私は嫌だ。


だから、きちんと話すんだ。


「ここにしよう。」


そう言って連れてこられたのは、公園。


私でも知っている公園だった。


桜公園という、その名の通り春になると辺り一面桜で覆い尽くされる公園で、お花見の季節は人でごった返すんだそう。


でも今は冬。


整備は行き届いているものの、人は訪れない。


木のベンチとテーブルは、まるで泣いているようにもみえる。


そこに、たけくんが腰かける。


私もつられて腰掛ける。


「…。」
「…。」


そ、そそそそそうだよ!


二人とも何を話せばいいのかわからないんだ。


どうしよう。


今?今言うべき?


でもまだ心の準備が…

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