お嬢様 × 御曹司
将来への夢 -希望-
私たちは、一ヶ月の間を埋めるかのように、その日はその一ヶ月のことを初めから最後まで話した。


「仕事?」


「うん。俺、父上に次期社長になるんだって今年に入って言われたんだ。なんとなくは気がついてたけど、面とむかって言われるのはその時が初めてだった。」


それから、農家に行って農業の厳しさについて学んだりしてきたんだそう。


それで、冬休みがなくなっただけじゃなく、学校も何日か休んだのだとか。


私の生活と違いすぎてるし、私が思ってたたけくんの仕事の量よりかなり多かったから、びっくりしちゃった。


「そうしたら俺、腹がくくれて。将来絶対、大道寺財閥の農業科社長になろうって思えた。それが、今の俺の夢。」


将来の夢…


それを語るたけくんは、何倍も大人に見えた。


そんなたけくんがかっこいいと思うし、羨ましく思う。


「聖夜は?将来の夢、ないの?」


「私?私は…今の所ないかな?」


普通の人になりたい。っていうのは、違うってわかったから。


みんなの考えてる普通って、人が生み出してるだけで、そんなもの存在しないんだ。


私からすれば、パーティに出席するのは普通。


でも、他の人からすれば私は異常。


それって、私から見ても同じこと。


普通ってないんだなぁって思う。


だから、普通になりたいって夢はなくなった。


「まあまあ。」


そう言ってたけくんは私の頭をポンポンする。


たけくん的には、落ち着かせたり、撫でたりするのと同じことなんだろーな。


「夢を見つけるのも、聖夜の夢だね。」
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