お嬢様 × 御曹司
花火大会 -内緒-
季節は飛ぶに飛んで夏!


この春、晴れて私たちは中学2年生になりました。


私は相変わらず友達がゆうちゃんと花以外できてないけど、それも今は気にしない。


だって、友達って無理やり作るものじゃないでしょう?


春休みにはたけくんと桜公園でお花見をした。


たけくんの部活がない休日に映画を見に行ったりもした。


あとは、数あるパーティにたまたまどっちも出席していて話したりとか。


喧嘩することもなく、私達は彼氏彼女の関係を続けている。


「夏祭り?」


『そうそう。』


電話の相手は、もちろん一人しかいない。


確かに今は夏休み。


前半は母さんに無理やり夏期講習に連れて行かれ勉強三昧。


夏休みに入ってからたけくんも忙しいらしく1度しか出かけられなかった。


夏祭りか…いいかもしれない。


『武士といきなよ、デート。』


「デ、デートって…」


『何よ?付き合ってるんだからデートでしょ?』


「うぅ。」


でも、確かにデートはしたい。


「じゃあ、誘ってみようかな?」


『そのいきだ!』


たけくんといるのは楽しいし、何より会えるだけで嬉しいもんね。


あれ?


「ゆうちゃんは夏祭り行かないの?」


『私?私はいかないよ。もう部活も引退したしね、ちゃんと勉強しないと。』


「あぁ、そういえばゆうちゃん受験生。」


昨年度2年生だったゆうちゃんこと渡辺勇輝先輩は、今年度3年生の受験生である。


だから、こちらからは極力遊びには誘わないようにしてるんだ。


電話の向こうから不満そうな声が聞こえる。


『何よ、そういえばって!あんたたちだって来年そうなるのよ!見てなさい、来年は私があなた達を笑ってあげる!』


あーだめだこりゃ。


勉強しすぎて頭おかしくなってる。


「違う違う。ゆうちゃんなら他の高校から剣道の推薦こないの?」


今年も剣道女子全国1位の成績を修めた。


たけくんは、他の県からの推薦も来てるらしいって言ってたし。


私はてっきりその推薦を


『忘れたの?私の夢。』


ゆうちゃんの、夢…


「あっ‼︎」


『私、パティシエになりたいから。専門学校に行きたいの。そこには剣道の推薦ないからね。剣道は趣味で続けるし、道場に通うからいいんだけど。』


そっか、だから頑張ってるんだ。


「頑張ってね!応援してる!」


『ありがとう。じゃ、夏祭り頑張ってね!』

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