お嬢様 × 御曹司
通話ボタンを切ってからLINEを開いてたけくんのアイコンを選択。


[おはよう]


無難にウサギのスタンプで話しかける。


まだ既読はつかない。


仕方ないよ、たけくんは朝弱いんだから。


まだ夏なのに涼しい時間帯。


[今度の花火大会にいかない?別名夏祭りにさ。最近あえてなかったし、どうかな?]


「焦らないでいいので返事ください…っと。」


最後まで打ち終わって、ベットから起き上がる。


はいそうです。


起きてからずーっとベットの上でダラダラすること1時間。


さすがに着替えないとまずいな、女子として。


仕方なく部屋のカーテンと窓を開けて、部屋を出る。


-ガチャッ


「おはよう」


たまたま同時に出てきた兄さん。


髪の毛はボサボサで品のかけらもない。


朝はいつもこうなんだけどね。


「おはよう兄さん。」


私は別に兄さんを嫌っているわけではないので、一緒に階段を降りる。


「そうだ聖夜。」


今日は寝起きが良かったらしく、目をきちんと開けて話してる。


「服、何枚か新品もらったから。」


「うん。花から聞いた。安東優笑さんでしょ?別にいいよ。」


「あぁ。しかしよく知ってるな。」


安東優笑さんっていうのは、兄さんの高校の同級生アンドクラスメイトで、学級委員を務めている人。


4月あたりは、『出来の良すぎる委員長』という肩書き付きで私の通う中学まで噂が広がってたんだ。


なんか、6月あたりに本性(?)がばれて学校でいざこざがあったらしいんだけど、なんと、安東優笑さんのお兄さんは私の亡き姉さん、日野原姫の旦那様だった。


もちろん新婚旅行の帰りの飛行機に2人とも乗ってたから、優笑さんのお兄さんも亡くなってるんだけどね。


でも本当は根っから優しい寂しがり屋さんらしくて、女嫌いの兄さんが唯一関わりを持っている。
< 118 / 161 >

この作品をシェア

pagetop