お嬢様 × 御曹司
「どうして、私の名前?」


「あれ?お会いしたことありませんでした?」


私が見たことあるんだから、てっきり優笑さんも知ってるものだと。


「おれの妹。日野原聖夜。お前ら初めましてか。」


いや納得してんな。


優笑さんめったゃ困ってるじゃん!


「そうだったんだ。よろしくね、聖夜ちゃん。あと、お洋服も何枚かいただいちゃって…」


「あれは、全然大丈夫ですから!私、服だけは多いんで!」


すごい、切り替え早い。


さっきまでの不安そうな顔は何処へやら。


今はもう完全に理解して対応してる。


さすが、兄さんの好きな人だね。


「わたし、一度だけお見かけしたことあるんですよ。あの、駅前で…」


優笑さんの方は覚えがあるみたい。


兄さんは「はっ?」て顔してるけど。


この際兄さんは無視だね、無視。


「あの日はたまたま兄さんと二人きりで買い物だったんで、昔みたいに手を繋いで帰ろって言っただけなんで〜!」


もしかしたら、私と兄さんの関係を誤解してたのかもしれない。


「こいつ結構ガキなんだ。」


「うっさいわよ!」


兄さんにガキ呼ばわりされ切れたふりをする私。


「はぁ!」


兄さんもそれに乗っかり逆ギレしたふり。


「あははは。」


よかった。


優笑さんが笑顔になって。


兄さんとは目配せで笑いあう。


こういうとこ、兄弟だなって思う。


「おい、聖夜どこ行ってたんだよ?」
< 126 / 161 >

この作品をシェア

pagetop